小学校受験に学力は必要?不要?

小学校受験に学力は求められているのか?実体験含めて解説していきます。

小学校受験に学力は必要?不要?~学力の定義と出題形式の基本~

結論として小学校受験に学力は不要です。

”学力”の定義は文脈によっても異なる為、本記事では学力を次のように定義します。
・読み/書き/計算が出来る能力
・知識量
これらをここでは”学力”として定義し、解説していきます。
この定義に則ると、小学校受験に学力は不要です。
後半部分ではその不要であった学力がどうなっていくのかを考察します。

ではまず学力が不要である理由を解説します。
小学校受験の形態によくあるものとしては大別すると下記の5つが挙げられます。
①ペーパー課題
②製作課題
③運動課題
④行動観察
⑤口頭試問(親子面接含む)

この内、直接的に学力と関わりあるものは①が該当し得るかと思います。
そして学校によっては①が存在せず、④だけであったり、②~⑤の複合であったりと受験形態は様々です。

これが小学校受験において学力が不要であることの理由の1つ目です。
決してペーパー課題だけで合否が決まるわけではありません。
また①を含んでいたとしても①~⑤の複合であって、その内どの項目がどの程度比重が置かれているかは判然としていません(恐らく受験する年によっても多少変動している=担当する教員の裁量次第=その担当する教員が毎年違う為)。
よって「我が子は学力が弱いから小学校受験を諦めよう」というのは勿体ないことになります。

理由の2つ目として、①も決して学力がそのまま直結するようなものばかりではないことが挙げられます。
そもそも小学校受験の段階では幼稚園又は保育園等を経てきていますが、
その段階では学習指導要領に基づいた教育環境にない為、
「全児童が共通で持っている読み書きの水準や知識レベル」というものが存在しません。
平仮名も読めないという前提で出題しなくてはならない、というのが出題者側に課せられているルールです。
よって出題形式は文章で明示されることは殆どなく、大概の問題が音声による(その場で教員が発声する場合や、大昔はテープレコーダーが延々と喋ったり)出題です。
よって読み書きが出来る、という能力の優劣で差が出にくい仕様になっています。

小学校受験に学力は必要?不要?~問題の傾向~

ではペーパー課題で実際にどんな問題が出るのか。
例えばこのような形です。

わたしは赤いです。食べると甘い果物です。地面の上になっています。わたしに〇をつけてください。
<イラスト>
ピーマン / イチゴ / ニンジン / メロン

文章で読むと誰でもわかるような問題ではあります。
が、音声で聴いていると最初の「赤い」という情報や「果物」という情報が上書きされて混乱する場合があります。
その為に敢えて最後に「地面の上になっている」という情報を持ってきている、とも言えます。
一方で、学力とは関係なく「赤い」「果物」「地面の上」という情報を整理して頭に入れられればすんなりと正答することが可能です。
またこのような問題もあります。

次のイラストではジャンケンをします。多く勝ったほうの列の最後に〇をつけてください。
<イラスト>
A:グー/パー/チョキ/チョキ/グー/チョキ/パー/パー/グー/チョキ
B:パー/チョキ/パー/グー/チョキ/パー/チョキ/グー/パー/グー

ジャンケンのルールさえわかっていれば答えることは可能です。
この問題で大事なことは「多く勝ったほう」なのか「多く負けたほう」なのかを音声でよく聴いておくことです。
ここで間違ってしまうと全問間違うこともあり得るのです。

小学校受験に学力は必要?不要?~小学校受験で見ている能力~

小学校受験の出題形式は前述した通り大別して5系統あります。
(系統、とか言っているとHUNTER✕HUNTERみたいですが)

オススメ漫画>HUNTER✕HUNTER

HUNTER×HUNTER モノクロ版 37 (ジャンプコミックスDIGITAL)
センリツの能力も凄いけどツェリードニヒの能力が遂に…。
ってか反則でしょ。ジョジョ5部のボスの能力思い出したよ。

オススメ漫画>ジョジョの奇妙な冒険第5部

ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風 カラー版 12 ジョジョの奇妙な冒険 第5部 カラー版 (ジャンプコミックスDIGITAL)
ボスのお陰で電話や、独りで喋っている人間が街中にいると怖くなったよ…。
イタリア行きたいね。

出題形式がどの系統であっても受験校が私立でも国立でも、概ね変わらないものがあります。
(HUNTER✕HUNTERの”念”で言うところの四大行のようなもの)
そしてそれは受験の合否に直接的に関わってきます。具体的には、

・他人(教員)の話を聴くことが出来るかどうか
・脳のメモリ容量の多寡
・保護者を含めた家庭が学校とマッチングするかどうか(=校風と合うか)

に集約されてきます。これをはき違えて、
「うちは平仮名やカタカナ、漢字まで書けるから大丈夫!」
などと思ってしまうパターンがありますが、これは良くないパターンです。
逆に言えば「学力が低いから小学校受験を控える」のは勿体ない。
むしろ冒頭に定義したような”学力”に不安がある人程小学校受験をした方が良いかもしれません。
この辺りは別記事で触れる、小学校受験のメリットについてをご覧ください。

正直、ペーパー課題を中心とした出題は、いざ練習してみると辟易としてくることも多いです。
何故なら子どもの正答率は中々上がらない、又は上がったり下がったりを繰り返すからです。
しかし上記したような「他人の話を聴くことが出来るかどうか」のトレーニングをしていると考えて取り組んでいくと、
ただの正答を追い求めるだけの作業ではなくなり、ゴールを見失うことなく基本を積み上げていくことが出来ます。

これは大人の世界でも言えることで、例えば仕事の出来る人/出来ない人を分ける重大な要素に「他人の話を聴くことができるかどうか」が挙げられるかと思います。
(世にいうコミュニケーション能力、というやつです)
子どものトレーニングでもあると同時に、大人も含めた普遍的な人間のトレーニングと思って取り組むべき問題が、
ペーパー課題含めて5系統に共通して数多くあるのが小学校受験の出題傾向です。

オススメ書籍>3秒で伝える

3秒で伝える コンサルが使う[シンプルな言葉で相手を動かす]会話術 (扶桑社BOOKS)
コンサル、と聴くといかがわしい感じもしますが、これは良著。
タイトル通り、「短く伝えればそれでいい」わけでは決してない。
何故3秒なのか。伝える側、伝えられる側の両面から考察した1冊。
ビジネスで何故だかわからないけど上手くいかない、
話が長い、
仕事が遅い、
説明がへたくそ、
と言う人に最適です。

小学校受験に学力は必要?不要?~まとめ~

小学校受験に単純な学力が不要であることを解説してきました。
学力が不要であるが故に、いざ受験して入学してみると同級生や教員の学力向上へのモチベーションが低いことに驚く…なんていうこともあり得ます。
(これは環境による因子や、”教員ガチャ”なところもありますが)

とは言え、ひとまず「他人の話を聴く」ということを念頭において子どもとトレーニングしていくことが小学校受験で最も大切なことであることに変わりはありません。
引いては人間社会で生きていく上で「他人の話を聴く」ことが大切であることは言うまでもありません。

ではどのようにすれば「他人の話を聴く」が伸びていくのか。
それは本の読み聞かせです。
小学校受験で頻出問題のお話記憶の対策にもつながります。
読み聞かせを繰り返していくことで脳のメモリも上がり、またお話の中に出てくる「季節のもの」も自然と触れることが出来ることもメリットです。

例えばお話記憶の頻出問題で「この物語の季節はいつですか?」と問う問題が出てきます。
具体的にはお話の中で「雪合戦をしました」「雪だるまを作りました」となればすぐに冬だとわかります。
ここに変化の要素が加わると、「鏡餅を落としてしまいました」「門松と写真を撮りました」等、最近では子どもに縁遠いアイテムが出てくることがあります。
いずれも答えは冬、ですが見たことがないと答えられない子どもも多いでしょう。

対策としては質より量でひたすら読み聞かせ、が回り道ではありますが、一番の方法ではあります。
直前の場合には季節毎にアイテムがまとめられた表をお風呂に貼る、なども有効です。

オススメ教材>お風呂ポスター

お風呂の学校 小学校 お受験対策 知育 学習 お風呂ポスター 3枚セット 日本製(季節の花・食べ物・行事・ものの数え方・二十四節気・マナー違反などを網羅) 小学校受験 B3サイズ 防水
とりあえず必要な要素が全部盛り。
親子で時々クイズにするも良し。
事典のように使うのも良し。
とにかく見えるところに貼って、何回も触れることが肝心。

オススメ教材>むかしばなし

ココロが育つよみきかせ絵本日本の昔ばなし 名作50選

パンどろぼうも好きだけど、最近出版された本ばかり読んでいるとむかしばなし系の問題が出てきた時に手も足もでなくなる…。
ということを痛感し、慌ててむかしばなしをかたっぱしから読み聞かせすることに。

オススメ本>パンどろぼうシリーズ

パンどろぼう

とは言えやっぱりパンどろぼうも好き。
大人もハマるパンどろぼう。
これ読むと翌朝パン食べたくなる。

お話記憶対策として、(本当に時々で良いので)読み聞かせが終わった後に質問してみましょう。
桃太郎であれば「キビ団子をあげたら家来になったのは誰だったかな?」という具合です。
毎回質問していると、子どもも読み聞かせ=問題、となってしまって良くないので本当に時々で良いと思います。
質問…というか大人が投げかけをすることで子どもの頭の中で「質問されるとしたらどんなことかな」「これを覚えておこう」と自然と思考回路が生まれてきます。
徐々に繰り返していくことでお話記憶を中心として「他人の話を聴く」能力が上がっていくことに気づく、そんなふとした瞬間が来るかと思います。